内見

住む家を内見した。

周囲の話では、内見せずに家を契約するのは珍しいらしい。内見しないかわりに家賃安くするとかそういうのもあるとか。

わたしの場合は住む部屋は内見してないけど、同じ建物で形違いの部屋は見てたのである程度イメージはできてたけど。

 

家は、想像より少し小さく、古かった。ふと、住んだことないタイプの家に住むことにドキドキと戸惑いを感じた。同じ建物には生まれも育ちも文化もきっと違う知らない人が住んでる。顔を合わせることはあまりないだろうが、この何十億人といる人々の中でスーパーコアにキュッと集まって暮らすのだ。知らない人と!なんて奇妙な親密性!

 

洗濯機は、家に備わっている蛇口や排水の位置によって最適な機種が決まる。家電の選択肢は少ない。洗濯機でかわいいと思うデザインなんて無いし、みんなよくわからないどっちつかずな差し色が入ってる。

白物家電は何を買う

K's電気で新生活応援セットというのがあって、電子レンジと炊飯器が2つで10,000円、ポイントカードを作ると5%OFFの9,500円で安くちょうど良かったので買った。(誕生日プレゼントにかこつけて父に買ってもらう)

 

どちらもハイアールというメーカー品。一人暮らし用の家電を調べると必ず出てくるのがハイアール。安くて一人生活に丁度いいサイズ感のものを多く出してる。無印良品の家電も、外見はMUJIデザインだけど中身はハイアールだったりする。

 

買った電子レンジは700Wでチンできるのが良いところ。お手軽値段だとちょっと珍しい。炊飯器はまあ普通の3合炊きタイプで、口コミだと保温機能は期待できないとあった。安いものでまかなうなら、なにかの機能は諦めないといけない。

 

それから今迷っているのは洗濯機と冷蔵庫。今日、トレジャーファクトリー(リサイクルショップ)を3軒ハシゴしたけど、1万〜1.5万で洗濯機も冷蔵庫もあることはある。一人暮らし用って需要もあれば要らなくなる人もたくさんいるみたいで、リサイクルでも品数はけっこうある。状態も綺麗なものばかり。定価で買うと2万〜4万くらいするので中古品でも十分だ。

 

と、思ったが、よくよく考えてみればまず送料が3000〜5000円かかるのと、2012年くらいより前に製造されたものは電気代が高かったりするらしい。(新しいものは中古でも高い)

 

洗濯機は一人暮らしだと4.5L〜5.0Lのコンパクトサイズ。それでこのサイズ感でハイアールのものはAmazonだと18,000円(送料込み)。送料考えれば中古と大差ないし、それで新品が使えるならそっちの方が良さそう…

 

冷蔵庫は、100〜130Lが一人暮らしサイズ。知らなかったけど冷蔵庫にはファン式と直冷式の2種類があるらしい。違いはざっくり「霜が付くか否か」。一般的な家庭サイズはみんなファン式で、冷凍庫に霜が付かない。が、一人暮らしサイズだと今でも直冷式というのがあって、これは使っていくうちに冷凍庫に霜が付くので定期的にそれを取るお手入れが必要らしい。これがどの程度付くのかは使い方によるらしいけど、周りの一人暮らしに聞いても「めんどいからやめといた方がいい」という人がいれば、「あんまり付かなかったから霜の掃除したことない」なんて人もいる。

直冷式はもちろんファン式より安い。でも霜が付くし、電気代も若干高いとか。どっちにするかな〜・・。今のところ有力なのはU-ingという日本のメーカーの2.7万〜3万のファン式110L冷蔵庫。なんでもいいと思ってたけど考えだすと悩む。

 

 

ちなみに、私が一目惚れしてうっかり買ってしまいそうになって辞めた冷蔵庫がこちら

 

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Grandlineていうシリーズで、レトロ風に作ってるらしい。この変な緑とゴツい取っ手と、ダサいロゴがかわいい!

これは2万弱でそんなに高くないけど霜が出るタイプ。。

 

 

2017年の良かった映画10

1. アスファルト
真っ白な曇り空の寒い日に映画館で見た。どこを思い出しても全方位に愛があるのでとても見るのが気持ちいい、幸せ。本当、めちゃ大好きな映画に出会ってしまった。本当に幸せなことは、登場人物みんなを愛せるってとこで、そういう映画って多くないし、何度でも見たい。

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Jules Benchetrit(監督の息子らしい)の美しさもすごい。

 

2. パターソン
見れば見るほどに好きになっていく
妻のこと好きなの?とかカップケーキは美味しかったの?とか謎なことが謎のまま終わる感じが変に映画ぽくなくてすき。たぶんこれから何度も見るんだろうなと思う。


3. ありがとうトニ・エルドマン

何となく見たら本当に良くて驚いた映画。
日常の中でチーズをスライスする行為がどれだけ豊かで重大なことか、それを全力で娘に伝えようとする、その伝え方が本当に面白すぎて泣いちゃう。後半はピークが何回かあって、めちゃオモシロイ。びっくりなパーティーのくだりも、本当にだいすき。細かいところや社会問題の描き方もかなりうまい。

 
4 ドリーム
ファレルの音楽も最高だし、衣装の色あざやかさとか、ストーリーのわかりやすさとか、どこを取っても誰が見ても最高に面白い映画!何よりも、知らなかったことを知るっていう経験はとても大事で、それが人間を大きくするのだからそういう映画って超大事!ダサい邦題だけど色んな人に見てほしいとおもった映画。

 

5 ムーンライト
見る前の想像より全然かわいくて美しくて、びっくりした。勝手にゲイの生きづらさとか治安の悪い地域のストリートの様子とか、そういう映画だと思ったら、ひとりの男の恋の話だった。世界はこんなに美しくて人はこんなに弱くて、可愛くて、愛おしいということを映像美で語ってる。澄んだブルーの海や窓から差す光、鮮やかな黒い肌などが印象的。

 

6.美しい星
吉田大八監督なので、予告もポスターも良くわかんなかったが見た。そしたら凄い良かったってやつ。三島由紀夫の原作を読んだらかなり尖っていて変な感じで面白かったし、これがあれになったのかーとそれもまた楽しい経験だった。自然と人間の二項対立ってなんなんでしょうね、人間の頭は良いんだか悪いんだか。

 

8.カフェ・ソサエティ
ウディアレンの新作を映画館で見るっていうある種のゆるい幸せってあるな。しかも今回はジェシーアイゼンバーグだったし、程よくぶっ飛んでいて見る心地が良かった。服がめちゃいい。

 

9.たかが世界の終わり
26歳でどんだけディスコミュニケーションをメタ化してんだドラン…とキュウゥとなり肩身狭くツラミもあった。が、やっぱりオモシロイ。正月、親戚の家に集まるのが鬱になる最高劇!そういう感覚ってドラン始め若い世代特有のものかと思ってたけど、この映画の評判とか見ているとそうでもなさそう。やっと消化して映画にまで漕ぎ着けたんだと思う。人間は、いい方向に進めばいい。

 

10.希望のかなた
アキカウリスマキっててっきり故人だと思ってたので新作が見れるなんてびっくり嬉しかった。しかも35mmフィルム上映で…!本当に満足した。今回もテーマが重く、話も暗い常に無表情だが結構笑える。あの独特の間はクセになってしまうし、映画館で見るのもまた良いもんだった。


11 .ロストインパリ
ジャックタチとか地下鉄のザジみたいにコロコロ駆け回るいたずらっ子感があって最高おもしろかった!体が感情にとても忠実で、ダンスのシーンを始め、頭から足の指先までの動きにすべてつまっていた。しかもかなり笑える!色合いも終始良い。

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番外 かわいかった人

「マギーズプラン」のグレタ・カーウィグ

服が全部ちょうかわいかった。

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家を決めた

住む家を決めた。

まだ退去してないので内見もしてないけど、決めた。カンと勢いで!わたしは何となく選んだものであまり失敗したことはない。

 

決めては、メイン部屋にある2つの窓と、脱衣所があるとこ、何よりも、駅に近いこと!

 

決めたらもう肩の荷がすっかり下りて、とてもスッキリした。家探しは面倒で気も滅入るけど、終わりが来れば楽しいものだ。

なんどでも家探ししたい。

 

 

好きな音楽がある限り、好きな小説がある限り、好きな人がいる限り、ゾンビの血を吸ってまで生きる意味があるのだろう。

“Only Lovers Left Alive”
「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」
/ジム・ジャームッシュ

 

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長く生きれば生きるほど、人は孤独を知るのだろう。何世紀もの時を生きてきた彼らからただようじっとりとした寂しさが、ポーティスヘッドの音楽のように終始空気を包み込む。
アダムとイヴ(なんてストレートな名前)が映画の中で見せる、音楽や小説を愛でる仕草がとても丁寧で彼らの情熱がオフビートにじっとり描かれる。
彼らが劇中しきりに「ゾンビ」と呼んで忌み嫌うのは単に「人間」を指すのではなく、そういう文化をろくに鑑賞せずただフラフラと生きてる人たちのことを言うのだろう。彼らはゾンビに属さない「人間」が作った楽器や本をこよなく愛している。何百年も生きてきた彼らにとって、「生きる」ことは並大抵のことじゃなく、その長い間に色んな意味を継ぎ足し、血を飲み続けるのだろう。それが本作では文化的な歴史、これまで積み重ねられてきたアーカイブへのリスペクトといったものに意味づけられている。ラストショットは少しコミカルだけど、ものすごい生命力に溢れている。息を吸って吐いているだけのお前ら、もがいて逃げる情熱を見せてくれ!飲まれるな、生きろ!!奮い立たせられる。
実はそれってジム・ジャームッシュの映画にいつも表れる一貫したテーマでもあって、例えヴァンパイアものでも彼の映画であることに変わりないというのが本当に良くて好きになっちゃうんだ。真上から捉えるショット、チラつく日本の影、彼の好きなものを詰め込んだみたいな作風がこんなに素敵に見えるのはジム・ジャームッシュだからこそなんだろう。かっこいいね、永遠にかっこいい。

 

 

これをきくとこの映画を思い出す曲。劇中で流れてたと勘違いしたほどにこの映画の雰囲気に合ってて好きな曲。

 

Glory Box / ポーティスヘッド
https://itunes.apple.com/jp/album/glory-box/id14716026?i=14716060

 

ちなみにライブ版でタバコ吸いながら歌う姿がかっこよすぎて死にそうということも書き加えておこう。

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https://youtu.be/C3LK5ELvZwI

明日には忘れてしまうような会話を、人は毎日繰り返している

"Coffee And Cigaretts”
/ジム・ジャームッシュ

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 コーヒーとタバコを嗜む人々の些細なオムニバスの会話劇。特別な話をしているわけではない。起承転結を大事にしてる映画なら、きっと想像の中に留めるだけの、映像にさえならないパートだろう。
それでもこれは、街で人が生きるのに最も身近な経験だ。街の平和のために命がけで戦うバットマンだって、コーヒーにシュガーを入れてザラついたコップの底をスプーンでかき回す何でもない些細な昼下がりがあるはずだ。そう、大抵の人生は平凡だ、毎日同じ様な時間を過ごし、たかが睡眠時間に一喜一憂する。特別なことや映画みたいなド派手でロマンチックな展開は起こらない。
それでも人は、明日には忘れてしまうような会話を繰り返す。そして実は会話だけじゃなくてコーヒーカップの下に型取られる丸いシミについて考えたり、目の前にいる人の髪を触る仕草を気にしたりしている。そんな時間のことを言葉にしたのが詩で、音に乗せて唄えば歌になる。伏線にも回収されない会話や出来事が生活を彩り、人生はどんどん重厚になっていく。そう、これもまたジム・ジャームッシュの映画なのだ。

 

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かもめ食堂

かもめ食堂を見た。

旅行でヘルシンキへ行くことになったので久しぶりにこの映画を見た。私にとって「フィンランド」といってまず思いつく映画はこの「かもめ食堂」だ。

 「かもめ食堂」のロケエピソードが語られる片桐はいりの「わたしのマトカ」というエッセイによれば、フィンランドで作られる映画は年にたったの20本ほどであるという。どおりでフィンランド映画で検索しても全然出てこないわけだ。最近でいうと「365日のシンプルライフ」や「アングリーバード」の映画版なんかはフィンランド映画だ。でもやはり有名なのはアキ・カウリスマキ監督の作品だろう。静かで重い人々の雰囲気がいつもただよう彼の作品が実はフィンランドの人々の様子を切り取っているのかもしれない。

 そしてこの「かもめ食堂」はあくまでも日本映画。ロケは全てフィンランドで行われたらしいけど、描かれているのは日本人が思い描く「フィンランドっぽさ」。というか、今フィンランドと言って日本人がイメージするもの(「マリメッコ」「鮮やかな色」「港のマーケット」「穏やかな町並み」「ゆったりした雰囲気」「のんびりした人々」など)は実はこの映画によって作り上げられたんじゃないかと思う。そのくらい、女子向けガイドブックにのっているフィンランド像と「かもめ食堂」のそれは似ている。

 そして荻上直子作品ではよくあることだけど、現実的な部分(経済的に大丈夫?やっていけんの?とか)は全く考えなくて良い(むしろ考えるな)完全なるファンタジー映画であるということを念頭に置いてみなければ楽しめないだろう。サチエの経営するかもめ食堂は初めの1ヶ月一人も客が来なかったようだし、どこに収入源があるのかは不明だし、みどりさんも居候しているけど収入があるわけでもない。完全にやっていけない人間たちの生活だけどそれでも成り立っているというところには目を瞑らなければならない。

 それでも私はこの映画のことを手放しに「つまらない」とは言い切れない。それは完璧なまでに作られた憧れのヘルシンキ像があるからだろう。

 もたいまさこ演じるまさこは「荷物が出てこない」と言って登場するのだけど、これがまあ、もたいまさこが元から持っている独特の雰囲気も相まってかなりミステリアスなおばさん感がでている。港でかもめに「私の荷物はどこですか」って話しかけているときは「こいつやばいやつ」感が出すぎている。それから、やっと荷物が戻ってきてホテルで中を開けてみると消えたキノコがぎっしり詰まっているという超やばいシーンがある(なぜかギラギラ光っている)。そして、そのことを航空会社かなんかに電話するのだけど、

「確かに私の荷物に間違い無いみたいなんですけど、なんだか…違うんです」

とか言っても相手困るだけだろう!係りの人も暇じゃないんだからさあ。とか思ってしまうし、しかもそのあと近寄ってきた老人に無言で猫を渡されるというシーンはおもわず「いやどんなメッセージ性やねん!!?!??」と突っ込んでしまう。

 でも改めてもたいまさこという女優はなんだかすごいということを感じた。彼女はまず姿勢が素晴らしい。背筋が伸びているし、首が座っていて、凛として落ち着いた女性という雰囲気が身体から出てきていてすごい。彼女が着ている服や持ち物が素敵に見えるのはその佇まいからくるものなのだろう。あの姿勢のよさを見習いたい。背中で語るというのはこのことか。

 片桐はいり演じるみどりというの役は映画にユーモアとしてのスパイスみたいになっている。これがなんというか…一言で言えば「偏差値が低め」のキャラクター。映画においてキャラクターの偏差値を下げるということは見ている人の共感を得やすいことからよくあることだと思うけど確かにみどりさんは可愛らしい。

 例えば、もたいまさこが山に行ってキノコ狩りをしたけど帰ってくる間にいつの間にか消えてしまったという世にも奇妙な話をしているのにみどりさんは「へえ・・・」と一言。さらに、「ご注文はいかがなさいます?」と何事もなかったかのように続ける。お前はサイコパスか?そして、サチヨのおにぎりの良い話(母を早くに亡くし、父親がおにぎりを作ってくれたという話)を聞けばわかりやすく涙ぐんだり。そもそも世界地図を適当に指差してフィンランドに来たけど迷子になったから本屋にとりあえず入ったとかいうエピソードもすごいバカっぽいよなあ。それから変な柄のTシャツを色違いで持っていたりもして。トンミー・ヒルトネンのことをいつも「ねえトンミー・ヒルトネン」とフルネームでよぶところもそう。

 とにかく、能天気そうな人だけどそんな彼女もどうやら色々抱えてフィンランドへやってきたようではある。でもそこが掘り下げられることはなかったな。

小林聡美は一向に本音を語らない。店を始めた理由、フィンランドを選んだ理由、何に関しても聞かれるたびに違うことを言ったりその場で考えたことを言っていたり、一番謎めいている。彼女はなぜフィンランドを選んだのだろうか。なんとなくここならやっていける気がした、という言葉に全てがるような気もする。